
ご挨拶
理事長メッセージ

このたび、CoDE(Center of Dialogue Education)の設立にあたり、理事長を務めさせていただくこととなりました尾﨑茂でございます。
CoDEは「対話を通じた学びと関係性の深化」を使命とし、教育や社会における新たな価値を創出することを目指して発足いたしました。
現代社会はかつてないスピードで変化し、学校も企業も成果や効率を強く求められています。しかし、そのような時代だからこそ、人と人とが互いを理解し合い、安心感と信頼に基づくつながりが、今まさにより強く求められているのではないでしょうか。
こうした状況の中で、私たちは「対話」の可能性に大きな期待を寄せています。対話は単なる情報交換ではなく、自分自身を見つめ直し、相手の存在を尊重し、社会との関わりを新たに紡ぎ直す力を持っています。この力を教育現場のみならず、地域や企業といった幅広い場に広げていくことこそが、CoDEの使命であると考えています。
私たちが直ちに世界の大きな課題を解決することは難しいかもしれません。それでも、一人ひとりが身近な場で小さな対話を積み重ねていくことは、確実に未来への変化を生み出す種となります。その歩みを支え、広げていくことこそ、CoDEの大切な役割です。
今後、学校・地域・企業と協働しながら、多様な現場で「対話の文化」を根づかせてまいります。
そして、一人ひとりが自らのあり方を確かにしつつ、安心と信頼に基づく社会を築いていけるよう尽力いたします。
皆さまのご理解とご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

センター長メッセージ

今、世界中の教育が大きな転換点に立っています。
AIの登場により、知識の獲得や効率化がかつてないほど進む一方で、私たち人間が本来持っていた「対話する力」——すなわち、互いの違いを理解し、共に考え、感じ、創造していく力が、いま再び問われていると感じます。
CoDEは、そうした時代の潮流の中で、「人と人」「人と学び」「学びと社会」をつなぐ対話を軸に、教育を再構築しようとする試みです。私たちは、対話を単なる手法やスキルではなく、人間が本来持つ可能性を引き出し合う営みとして捉えています。
これまで私は、中等教育の現場で、教員間・生徒間の関係性の質を高める取り組みに携わってきました。
その中で感じてきたのは、子どもたちが「分からない」ことや「知らない」ことに出会ったとき、それを恥じるのではなく、他者と分かち合うことで世界を広げていく瞬間の尊さです。
しかし現代の教育現場では、成果や効率が優先されすぎるあまり、自分の感情や考えを言葉にし、人と共に感じ合い、そして思考を深めていく経験が不足しているのも事実です。そうした状況を変えるために、CoDEでは学校・地域・企業の垣根を超えて「学び合う広場」をつくることを目指します。
小さな問いを丁寧に扱い、見過ごされがちな違和感に耳を傾け、誰かの「わからない」に寄り添いながら、新しい価値を共に見出していくそれが、私たちが目指す「対話する社会」の第一歩です。
CoDEは、学校や地域、企業など多様な現場と手を取り合いながら、教育実践と研究をつなぐハブとして、対話が自然に生まれる場づくりと、その担い手となる人材の育成に取り組んでまいります。学びや働きの場が、成果や効率だけでなく、安心感や相互理解に支えられるものとなり、一人ひとりが自分らしい「あり方」を大切にしながら社会に力を発揮できる環境を育んでいきたいと考えています。多様なパートナーと共に学び合い、育ち合うつながりを広げていくことで、持続可能な未来づくりに寄与してまいります。
どうぞ、今後とも温かく見守り、ご支援いただけましたら幸いです。
